【DEIセミナー参加報告】
2025年11月24日、岐阜市のグランヴェール岐山にて開催された国際ロータリー第2630地区主催のDEIセミナーに参加してきました。DEIとは、Diversity(多様性)、Equity(公平性)、Inclusion(包摂性)の頭文字を取った言葉で、今やロータリーだけでなく、社会全体が向き合うべき大きなテーマです。
今回のセミナーでは、保護司、観察官、NPO関係者など、現場の最前線に立つ方々が登壇し、多様性の意味を具体的かつ切実な形で伝えてくれました。その中でも特に心を揺さぶられたのが、NPO法人岐阜ダルクの川合正さんの講演でした。
川合さんは、ご自身がゲイであることを誰にも言えずに育ち、自己否定と孤独の中で覚醒剤に依存していった過去を率直に語ってくださいました。やがて刑務所に入り、出所後にダルクという依存症回復支援施設で、自分と似た境遇の仲間と出会います。そして初めて「私はゲイです」「HIV陽性です」と打ち明けたとき、仲間は何も言わず、ただ手を握ってくれた——その瞬間に「自分は生きていていいんだ」と思えたそうです。
また、川合さんのお話によると、ゲイである人の割合は40人に1人程度とされており、統計的に言えば私たちの身近にも必ずいるはずです。しかし、それを認知できていないのは、その人たちが言えずに黙っているから。言えない空気が、いまだにこの社会には存在している——これは非常に重く、考えさせられる現実です。
また、現場で保護司として活動されている方のお話しも非常に印象的でした。保護司として犯罪や非行からの更生を支える立場にありながら、時に地域からの理解を得ることが難しく、偏見や誤解と向き合いながら活動している現状が語られました。特に「なり手不足」が深刻であり、保護司の高齢化も進む中、次の世代にどうバトンを渡すかが課題となっています。地域の中で再出発を支えるためには、保護司一人ひとりの努力だけではなく、社会全体の寛容性と理解が不可欠だということを痛感しました。
DEIの推進は、声高に何かを叫ぶことではなく、まず目の前の現実を見つめ、理解しようとすることから始まると私は思います。川合さんの言葉と、その背景にある深い痛みに触れ、私自身「社会を変える」ということの意味をあらためて考えさせられました。
これからのロータリー活動においても、DEIの視点を忘れず、誰もが安心して存在できる社会の一助となるような取り組みを続けていきたいと思います。


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